編集後記
編集委員の今村です。私自身,委員に就任してようやく1年で,毎号いろいろなスタイルで構成されるコンテンツから,多文化共生社会の構築の意義,実状や,様々な素晴らしい取り組みの事例を,楽しくかつ感銘を受けながら学んでいる日々です。
今号は,多文化共生社会を持続的に築いていく上で,おそらく最も大切な視点の一つである「教育」がテーマでした。
ひと言で「教育」と言っても,訳あって日本で暮らすことになった外国にルーツを持つ子どもに対して,どのような学びを提供すべきなのかという視点もあれば,受け入れる側(こういう表現自体個人的に違和感もありますが,他に適切な表現が思い浮かびませんでした)がどういった考え方や姿勢で取り組むべきかを学ぶという視点もあり,いろいろな角度からの考察が必要だと感じます。
手前味噌ではありますが,今号も,そういった多面的な視点がバランスよく取り上げられた内容になっていると思います。
「大阪府教育委員会座談会」では,大阪府では「誰一人取り残さない」という教育方針の下,高校において,日本語指導が必要な帰国生徒や外国人生徒を積極的に支援する制度が確立しているなど,自治体をあげてどのような子どもであっても個人を尊重しながら育てるという取り組みが語られました。三つの論文においては,(1)日本の高校で行われるキャリア教育における,外国につながる生徒に対する支援の実態と課題および改善に必要な視点,(2)日本社会における「マジョリティ」を形成する側の子どもたちに対する,多様性とともに生きるための正しい認識を付与する教育の必要性,さらに,(3)日本の未来をになう子どもたちの教育に進んで従事しようとする外国籍教員が直面している問題と,その解決に必要な視点が,それぞれ論じられており,「教育」を取り巻く課題の複雑性・多面性を思い知らされます。また,外国人当事者が運営する継承語学教室と学習支援を行う団体に関するルポと,リレートークで登場した日本語サロンの取り組みからは,人は「居場所」が必要で,そこで出会った人とのつながりのなかで育っていくということが,温かい希望の念とともに再確認できます。
号を追うごとに,多文化共生のために取り組んでいる団体や個人の方々とのつながりが増えてきました。個々の活動の規模や範囲は大きくはないかもしれませんが,意を同じくする仲間がいろいろなところにたくさんいることは心強いことです。今後も,そのようなつながりを広く示していくことで,当事者の方々を勇気づけることができ,同時に「マジョリティ」の間でさらに理解が深まっていくことに寄与できれば幸いです。



