ページの本文へ

PIONEER TALK Vol.5 SHIZUKO HIRYU

都市デザインは「人」を中心とした調和と統一のデザイン。
街づくりの魅力を多くの人に伝えたい

PROFILE

梶山 祐実さん
横浜市都市整備局 都市デザイン室長

PROFILE

東京都立大学工学部建築学科卒業後、横浜市入庁。 都市計画局(企画調査課:都心・副都心マスタープラン、新横浜駅整備計画、福祉のまちづくり等)、都市計画課(住宅地における地区計画、防火帯整備のための準防火地域の指定、各エリアの再開発・地区計画等の都市計画手続き)、 都市デザイン室(都心部における景観形成、日本大通りの賑わい形成、歴史的建造物の活用)、文化芸術創造都市事業本部創造都市推進課(ナショナルアートパーク構想、創造界隈形成事業、芸大誘致、映像文化都市事業)、 建築局(都市計画課:都市計画の案内、線引き)、建築環境課(福祉のまちづくり条例・風致地区の手続き、指導)を経て現在、都市整備局都市デザイン室長。

第一線で活躍する理工系女子の先輩にお話を聞く対談シリーズ。今回のゲストは、横浜市都市デザイン室長の梶山祐実さんです。
建物のデザインや設計といえば、皆さんなんとなくイメージできると思いますが、都市デザインの仕事と聞くとどうでしょうか?都市をデザインする仕事、そこには新旧の歴史が織成す景観のほか、民間と行政の連携や、開発・建築・税などの法制が複雑に絡むなかで、人が暮らしやすい快適で美しい街をつくるための、いろいろな工夫が込められています。大学での学びを活かして横浜市の都市デザインで活躍されている梶山さんに、どのようにして都市デザインに興味をもち、このお仕事についたか、ご自身の経験談や街づくりの魅力についてお聞きしました。

聞き手:荒木 由季子(株式会社 日立製作所 理事)

人を大切にする
横浜市の都市デザイン。
「造る」デザインだけではなく
「使う」ためのデザイン

荒木:
梶山さんは横浜市役所で都市デザインの仕事をされているそうですね。
梶山:
今、私がやっている「都市デザイン」の仕事をご紹介させていただきます。
横浜はもともと港街で、開港のときに発展した開港都市なのです。
その開港の歴史が非常に多く残っていること、海が街の近くにあること、そういった特徴を最大限に生かして街づくりを進めていくというのが横浜の都市デザインです。
例えばみなとみらいですが、ああいった新しい街づくりをするときも、横浜の特長である港や歴史、そういったものを生かしているのです。
調和と統一を上手く作りながら都市を作っていくということを進めています。
荒木:
具体的にはどういったことでしょう。
梶山:
そうですね、みなとみらい全体を遠くから見ていただくと一番高い横浜ランドマークタワーから、高さがだんだんに下がってきています。
あれはランドマークの方、次の建物の方、皆さんが港を見ることができるようにと、工夫されているからなのです。
あとは景観、遠くから見た時に非常に良いバランスになることも考えられています。
こういったスカイラインを造るために、地域でルールを持ち、民間と行政が一緒にやってきたのですが、そういったことも都市デザインの特長であると思っています。
荒木:
なるほど。
梶山:
あと、特徴的な景観といえば、赤レンガ倉庫ですね。
赤レンガ倉庫は、歴史を残す形で今の現代に合う形で使っております。
このように新しいものと古いものを融合させながら造っていくというのも、一つの魅力であると思います。
荒木:
行政と民間の協力、古いものと新しいモノの融合が特徴なのですね。
では、この「都市デザイン」という言葉や考え方は、横浜市としては古くからやっていらっしゃるのですか。
梶山:
都市デザインということを掲げたのは、おそらく1971年ですね。
荒木:
50年。長いですね。
梶山:
そうですね。 当初はどれだけ都市デザインというのを分かりやすく伝えるかということが中心でした。
最初はやはり、分かりやすいように都心部の整備からですね。
横浜の都市デザインというのは人に着目しているという意味で言えば、自然も重要だと考えていますので、川沿いのプロムナードや住宅地の広場の整備ですとか、そういったことで、エリアを都心部から郊外に広げていきました。
郊外ですと、例えば古民家を生かした公園の整備などですね。

今ご説明させていただいた都市デザインというものなのですが、なかなか人に伝えるのは難しくて、このようなリーフレットを作りました。



荒木:
カラフルで、素敵ですね。
梶山:
ありがとうございます。 今素敵だと言っていただいたのですけれども、それを感じていただきたいというのが趣旨なのです。
これがまさに都市デザインという代表的なものが組み合わされているのですが、例えばこのオープンエアカフェ。
これは日本大通りのオープンカフェの写真なのですが、こういった道路や公園、公共的な空間をいかに快適に過ごせる空間にするかということをやっています。
「造る」ときのデザインだけではなくて「使う」ためのデザインですね。
荒木:
実際に使われるときのことを考えたデザイン。
梶山:
はい、そうですね。そういったものを大切にしていきたいのです。
都市デザインって何ですかって尋ねられたときに、色々な施策が合わさって魅力的な街ができていますよ、ということをお子さんや誰にでも分かりやすいように伝えられたらなと思っています。